2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12680807
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
杉山 文博 筑波大学, 基礎医学系, 助教授 (90226481)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
深水 昭吉 筑波大学, 応用生物化学系, 教授 (60199172)
八神 健一 筑波大学, 基礎医学系, 教授 (40166476)
|
Keywords | マウス / 血圧 / 遺伝子座 |
Research Abstract |
我々は昨年度マウス血圧と連鎖する遺伝子座を幾つか同定した。しかし収縮期血圧、拡張期血圧、心拍数や左心室重量などの心血管系の量的形質を規定している遺伝的な機構について未だ十分には理解していない。そこで本年度は、遺伝的に異なるマウス系統の心血管系量的形質を決定するため、マウス系統(近交系11系統および自然発症変異系統2系統)における各量的形質の特徴化を実施するとともに、一部系統における昇圧機構の解析も併せ実施した。 合計13系統のマウスについて心血管系量的形質について検査を行った。収縮期血圧は約100mmHgから120mmHgであり、系統毎固有の収縮期血圧値を示した。拡張期血圧は最も低いのがC3H/HeJの67mmHgであり、最も高いのがC57BLKsJ Jcl-dbm db/db(db)の87mmHgであった。収縮期および拡張期血圧とも系統間において最低と最高の間に約20mmHgの差が観察された。両血圧とも最高値を示したのはdbであった。そこでこの昇圧機構を理解するため、dbの尿アドレナリン排泄量を計測したところ、アドレナリン排泄量が極度に増加していた。従って、このマウスの血圧上昇が神経系の興奮によってもたらされている可能性が示唆された。心拍数についても系統間で大きな幅があり、最低がBALB/cの530beat/min、最高がKK-Ayの675beat/minであった。心重量についても系統間に相違が観察され、74mgから109mgまでの範囲の広がりが観察された。さらに特定の系統(DBA/2J)において心臓石灰沈着が高頻度に観察された。 殆ど同じ環境下において飼育された遺伝的背景の異なるマウスにおいて系統間で連続的かつブロードな収縮期血圧、拡張期血圧、心拍数、心臓重量が示された。そして各量的形質において有意な差は多種系統間において存在した。これらの形質の系統間における差は遺伝的な違いによるものであり、マウス心血管系量的形質を規定する遺伝子同定のためのこれらマウス系統は重要な資源であることが明らかとなった。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] Savinova OV., Sugiyama F., Martin JE., Tomarev SI., Paigen B., Smith RS., John SWM.: "Intraocular pressure in genetically distinct mice : An update and strain survey"BMC Genetics. 2・12 (http://www.biomedcentral.com). 1471-2156/2/12 (2001)
-
[Publications] Sugiyama F., Churchill GA., Higgins DC., Johns C., Makaritsis KP., Gavras H., Paigen B.: "Concordance of murine quantitative trait loci for salt-induced hypertension with rat and human loci"Genomics. 71. 70-77 (2001)
-
[Publications] Sugiyama F., Yagami K., Paigen B.: "Mouse models for blood pressure regulation and hypertension"Carr. Hypertens Rep. 3. 41-48 (2001)