2002 Fiscal Year Annual Research Report
T細胞特異的発現遺伝子プロモーターを用いた成人T細胞白血病モデルマウスの作製
Project/Area Number |
12680816
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
大杉 剛生 熊本大学, 動物資源開発研究センター, 助教授 (00211102)
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Keywords | HTLV-I / tax / mice / transgenic mice / Lck |
Research Abstract |
Human T cell leukemia virus type I (HTLV-I)は、成人T細胞白血病(ATL)の原因ウイルスである。この疾患の病態および治療等の研究のためには動物モデルの作出が必須である。本研究では、ATLの動物モデルを遺伝子工学的手法により作製することを目的としている。 1.HTLV-I tax遺伝子導入トランスジェニック(Tg)マウスの作出 胸腺特異的発現Lck-proximalおよび末梢T細胞発現Lck-distalプロモーターの下流にtax遺伝子をつなぎ、T細胞に特異的にTaxを発現するTgマウスをC57BL/6マウスで作製したが、両Tgマウスともに不妊であった。そこで、安定的にプラスミドが増殖するdistal-Taxについては遺伝的背景をBDF1(DBA/2 XC57BL/6)マウスに変更して作製しなおし、10匹のfounderを得た。また、proximal-Tax#16については、体外授精により、オス21匹、メス14匹、合計35匹の産仔を得た。導入遺伝子は、オス7匹、メス2匹に確認された。 2.Tgマウスfounderの病態解析 Proximal-Taxマウス#15は、479日齢で死亡した。剖検したところ、肝臓類洞内に腫瘍を認め、肺の一部にも同様の所見が見られた。#16マウスは、各臓器から腫瘍病変は認められなかったが、腎臓に慢性糸球体腎炎が、観察された。#11マウスに病変は認められなかった。Distal-Taxマウスでは、#7に肝臓、脾臓および肺に腫瘍が確認された。また、#6および7マウスともに腎臓に慢性糸球体腎炎様所見を認めた。 Taxは腫瘍を引き起こしたが、T細胞系の腫瘍ではなかった。また、各マウスに共通して腎病変が認められたが、トランスジーンの入っていない同日齢のマウスでは病変は全く認められなかった。
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