2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12710148
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
高須 一 広島大学, 教育学部, 助教授 (10236218)
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Keywords | 音楽的発達 / 作曲 / ヴィゴツキー / 社会文化的アプローチ / フィールドワーク / エスノグラフィー / 作品分析 / ディスコース分析 |
Research Abstract |
2年間にわたる研究の初年度に当たる平成12年度は、主として研究計画の立案及びパイロット研究の実施とその結果の分析に当てた。4月に自費にて渡英し、ロンドン大学教育研究所のKeith Swanwick教授と研究計画の立案を行った。同時に、先行研究の検討と本研究に関わる資料の収集を行った。5月に松江市内の小・中学校と、本研究のための実験授業及びフィールドワークについて交渉及び説明を行った。その結果、6-7月の2ヶ月間にわたり、松江市立の小・中学校各1校においてそれぞれ5時間(2時間は予備授業)1単元の授業を、3クラスずつ実施した。その結果得られたデータ(子どもの音楽作品及びディスコース)を、8-9月間に整理した。特に子どもの音楽作品のため、10月2-22日間、ロンドン大学教育研究所に出向き、9人の評定者による分析を依頼した。この結果を、統計的に処理し、以下に挙げるような結果を得ることが出来た。この成果を生かし、10-11月に第1期の本フィールドワークを実施した。12月以降は、子ども間・子どもと教師間のディスコースのトランスクリプト化を実施中である。 パイロット研究及び第1期本フィールドワークで得られた成果は次の通りである。 9人の評定結果の相関関係を統計的に調べ、その結果を因子分析により9人の判定者の傾向を明確化し、特に相関の高い判定者6人の結果をKendallのW検定(カイ2乗検定)、対数線形検定により分析した。その結果、全体の傾向として、小・中学校共に3時間の本授業で子どもの音楽作品が有意に向上したことが明らかになった。同時に、同じ条件下(これまでに作曲の授業の経験があまりない子ども)でありながら、全く同じ授業を行ったにもかかわらず、小学校と中学校間に有意な発達差が確認できた。現在は、有意に子どもが発達した要因を、ディスコースから明らかにする作業を進めているところである。
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