2000 Fiscal Year Annual Research Report
現代日本の普通教育課程における技術教育財政制度に関する研究
Project/Area Number |
12710150
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
坂口 謙一 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (30284425)
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Keywords | 財政制度 / 産業教育振興法 / 中学校産業教育研究指定校 / 普通教育 / 技術教育 / 産業教育 / 技術科 / 職業・家庭科 |
Research Abstract |
1.日本の普通教育の一環としての技術教育については、施設・設備等の物的条件整備とそれに不可欠な教育財政の制度に関する研究が、ことがらの重要性に比して極めて遅れている。本研究はこうした研究事情等により、関連する諸論点のうち、(1)具体的にはまず第1に、産業教育振興法にもとづいて1952〜59年度まで存続した「中学校産業教育研究指定校」補助金制度の成立と展開及び変容の過程を実証的に分析し、その特徴を解明する。(2)また第2に、この指定校制度はその後、1958年に成立した技術・家庭科を1962年度から全面実施するに際して、1960年度から「中学校産業教育設備整備補助金」制度に代わったため、(1)の分析の結果との関連において1958年の技術・家庭科の成立の背景を教育財政の面から新たに検討し直し、技術科教育の成立における教育財政問題の位置を解明するとともに、このことにもとづいて、普通教育課程の技術教育に対する史上最初の本格的な教育財政制度がもつ普通教育史上の意義を理論的かつ実証的に明らかにしようとするものである。 2.(1)本年度は、これまでの予備研究の成果にもとづき、中央産業教育審議会総会議事録や教育課程審議会中等教育教育課程分科審議会議事録等の基本資料を分析した。(2)その結果、(1)まず第1に、中学校「産業教育」財政制度の第1期形態である中学校産業教育研究指定校制度は、本来であれば当該財政制度がその中核部分として有するべき政令で定める施設・設備に関する基準を欠落させているという制度上の基盤的欠陥を補填する役割を果たしたに過ぎなかったことを概ね解明した。(2)また第2に、中学校産業教育研究指定校制度のこうした代替的・補填的役割は、中学校「産業教育」を義務教育の一環という面にとりたてて焦点化して性格づけようとする義務教育一環論によって支えられながら形成・国定化された経緯を概略解明した。
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Research Products
(1 results)