2000 Fiscal Year Annual Research Report
日本統治末期の朝鮮における「国民総力」運動に関する史的考察
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12710191
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
永島 広紀 佐賀大学, 文化教育学部, 講師 (50315181)
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Keywords | 総動員体制 / 新体制 / 国民再組織 / 転向 / 緑旗連盟 / 国民総力朝鮮連盟 / 京城正学会 / 金融組合 |
Research Abstract |
本年度はまず史料収集を重点的に行った。特に韓国においてはソウルを中心に各史料収蔵機関を訪問し、本研究の核となる戦時期発行にかかる図書・雑誌(特に『大和世界』、李泳根の著作、国民総力朝鮮連盟発行の各種パンフレットなど)を閲覧・複写した。一方で、日本国内においても引き続き関係史料の渉猟に努め、幸運にも国内の古書店よりいくつかの緑旗連盟関係の書籍(『緑旗』誌・『新女性』誌など)を購入する事が出来た。 なお、現在進行中の作業としては、そうした史料の重要部分におけるテキストデータ化とともに、緑旗連盟関係者・京城保護観察所(大和塾など思想転向者団体を含む)・金融組合関係者・朝鮮総督府官僚・朝鮮文人報国会関係者などの著作目録を作成中であり、今後発表予定の論文における基礎的データとして利用していくべく、内容の補充と補完に務めている。森田文庫(故森田芳夫氏は緑旗連盟と国民総力朝鮮連盟に勤務、九州大学蔵)の整理、特にカード作成もほぼ終了し、来年度秋をめどに仮目録を作成すべく調整中である。 また一方で、面談・電話・書信による関係者(および遺族)への聞き取り調査も進捗し、本年度は緑旗連盟(緑旗医院)の関係者・遺族、および国民総力朝鮮連盟での勤務経験者(3名)から証言を得た。またその総力連盟勤務経験者の一人(福岡市在住)に連盟発行書籍の複写物を提供したところ、それが福岡の地元紙(『西日本新聞』2000年8月15日付夕刊)にて紹介されるという思いがけない一幕もあった。 よって以上の成果をもとに、来年度はそれを学会等での報告を踏まえて雑誌・紀要等にて順次公表していくことに注力したい。
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Research Products
(1 results)