2000 Fiscal Year Annual Research Report
南京国民政府期の公債整理政策と銀行経営に関する実証的研究
Project/Area Number |
12710194
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Research Institution | Nagoya Gakuin University |
Principal Investigator |
中田 昭一 名古屋学院大学, 外国語学部, 助教授 (80288448)
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Keywords | 中国近代経済史 / 金融史 / 土着金融機関 / 金融政策 / 公債整理政策 / 銀行統制 / 南京国民政府 / 銀行経営 |
Research Abstract |
南京国民政府期に直接関係する研究ではないが、曽田三郎編著『近代中国と日本 提携と敵対の半世紀』の第二章を執筆する過程で、本研究を実施するうえで前提となる1920年代の銀行経営の特質について明確なイメージを持つことができた。当時の銀行経営が公債投資や不動産担保貸付に偏倚していたのではなく、土着金融機関と競合しつつ商工業に対する信用貸付を積極的に行っていたことは、本研究を実施するうえで重要なファクトファインディングであった。11月12日には、広島史学研究大会において銀行公会が発行していた雑誌である『銀行週報』を主な史料として「南京国民政府期の公債政策と銀行資本」と題する研究発表を行い、公債引受銀行の推移を通じて、公債政策の銀行統制的側面について試論的に問題提起をした。これまでの中国近代史研究において、公債政策は中央・地方政府の財政の不健全さを示す証左として研究されることが多く、金融政策としての側面は看過されてきており、その意味ではオリジナリティの高い発表を行うことができたと考えている。また、8月、2月に資料収集を行ったが、8月に上海を訪問した際には、上海市档案館の陳正卿氏、中国近代銀行史について長らく研究を行われている上海社会科学院中国企業史資料中心の李一翔氏と、本研究について意見交換を行って多くの貴重なご教示をいただくとともに、陳正卿氏のご助力により、上海市档案館において銀行公会、銀行学会に関する膨大な公文書を入手することができた。現在、公文書類の整理・データ入力を実施中であり、広島史学研究大会での発表により精緻な史料的裏付けを行って、国際学会での発表や研究論文の執筆を準備中である。
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Research Products
(1 results)