2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12710207
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Research Institution | Tokai Women's University |
Principal Investigator |
富田 理恵 東海女子大学, 文学部, 助教授 (80322543)
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Keywords | スコットランド / イギリス革命 / 契約派 / 17世紀 / 長老主義 / 制限王政 / 王権 / 政治思想 |
Research Abstract |
スコットランドの契約派と国王チャールズとの思想史的な関係を探るため、1649年1月のチャールズ1世の処刑とそれに続く長子チャールズの即位宣言とスクーンでの即位式(1651年1月)の時期に対応する、スコットランド長老教会の教会総会の記録(Records of the Kirk of Scotland)を読み解くこととした。教会こそスコットランド契約派の思想的基盤となったからである。 プロテスタント諸派の寛容を主張するイングランドの独立派を、旧約的な、神との契約国家という概念でスコットランドやブリテンを捉えようとする契約派は是認しなかった。さらに1643年にイングランド議会とスコットランド議会との間で締結された「厳粛な同盟と契約」には、国王と王国の保全を約する条項があったことから、チャールズの処刑をその違反として厳しく非難した。教会はチャールズ1世の処刑の報を聞いて、直ちに長子チャールズの即位宣言を行ったスコットランド議会に賛同した。しかし、大陸に亡命していたチャールズが、スコットランドで王権を行使することを無条件で認めるものではなかった。むしろスコットランドが、彼のイングランド王位奪還のための踏み台として利用されることを強く警戒した。そこでまず国王が無制限の権力で持つのではなく、神と教会と王国の複利のために権力が行使されるべきこと、「厳粛な契約と同盟」に署名して、初めて王権の行使が可能であることを明確にした。王権についてのこのような考え方は、イングランドの名誉革命であらわされた制限王政の考え方に通ずるものであるといえよう。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 富田理恵: "2001年度歴史学研究会大会合同部会見市報告批判"歴史学研究. 757号. 65-66 (2001)
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[Publications] 富田理恵: "書評J.Goodare, State and Society in Early Modern Scotland"西洋史論叢. 22号. 63-66 (2001)
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[Publications] 富田理恵: "スコットランド議会の成立"史観. 146号. 51-65 (2002)
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[Publications] 近藤和彦編: "長い18世紀のイギリス"山川出版社. 13 (2002)
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[Publications] 歴史学研究会: "世界史史料集第5巻"岩波書店. 2 (2003)