2000 Fiscal Year Annual Research Report
地域・方言アイデンティティと方言変容の関連性についての調査研究
Project/Area Number |
12710224
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
半沢 康 福島大学, 教育学部, 助教授 (10254822)
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Keywords | 福島県方言 / 三重県方言 / 方言変容 / 方言意識 / 計量的研究 |
Research Abstract |
本研究の目的は,地域社会の方言変容がその地域の人々の方言・地域に対する意識とどのような関連性を持つかという点を解明することである。現在でも根強い生命力を誇る関西方言圏に属しながら,文化・経済の面では名古屋を中心とした東海地方との繋がりの強い三重県北勢地方を対象に,人々の帰属意識・方言評価意識と現在の方言変容との関連性を計量的に把握する。同時に,関西とは対照的に「弱い方言」である東北方言圏でも同様の調査を行い,相互の結果を全国レベルで比較する。 2000年度は三重県津市内および福島県福島市内に居住する,高・中・若年層インフォーマントを対象とした面接方言調査を行った。その結果,両地域の方言変容・衰退の傾向を確認し,またその一方で「新方言」とみなせる現象の発生を見出した。アンケート調査も併用し,人々の「方言意識」 「地域帰属意識」を同時に測定した。 現在までのデータをもとに,各インフォーマントの「方言使用度」「地域・方言に対する諸意識」を数量化し,相互の関連性についての予備的な分析を進めている。すでに「方言使用への抵抗感」 「地域帰属意識」などの変数と「方言変容(個人ごとの方言使用度)」との間に有意な関連性が見出されている。 本年度の調査をさらに来年度も継続し,より多くのインフォーマントからデータを収集する。2年間のデータによる,より安定的な分析結果に基づいて上記の関連性を生み出す因果メカニズムについての考察を行う予定である。
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