2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12720004
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
守矢 健一 大阪市立大学, 法学部, 助教授 (00295677)
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Keywords | 実体法 / 訴訟法 / 近代 / サヴィニー / 占有 / ドイツ / 訴権 |
Research Abstract |
19世紀ドイツの民法学を中心とする著作の復刻版が矢継ぎ早に刊行されているが、それをほぼ網羅的に購入することができた。また、実体法と訴訟法の交錯の考察を近代について行なうためには、公法学にも注意を向ける必要があるが、公法学に関する古典も入手することができた。 第二に、本期間中に、ドイツに短期滞在し、テーマに関連していくつかの興味深い資料を入手した。また、実体法と訴訟法の交錯を考察するにあたり、一つの重要なジャンルをなすのが「占有」という領域であるが、近代法学形成史に画期的な役割を果たしたドイツの法学者サヴィニーの、問題的な処女作『占有の法』(1803)に関するモノグラフィーで、フランクフルト大学法学部より、博士号取得のための口頭試問を受け、これに通過した。現在、当業績のドイツでの刊行に向け、作業中である。 第三に、サヴィニーの法源論における「法学」の意味の分析に力を注ぐという当初の予定に、若干の変更を余儀なくされたことを率直に付け加えなければならない。時とともに、実体法と訴訟法との交錯の考察のためには、一方、具体的制度、占有とか担保物権法について、裁判所の果たすべき役割にまで立ち入って分析を行なうことが、迂遠のようでいて得るところが多く、他方、たとえばサヴィニーにおける「訴権」概念の分析を行なうためには、これまた同時代の哲学的背景につき、かなり精密な認識を得る必要があることを痛感せざるを得なかった。以上の理由で、業績の公表に至らなかったのを遺憾とする。
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