2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12720010
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
愛敬 浩二 信州大学, 教育学部, 助教授 (10293490)
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Keywords | 財産権 / ジョン・ロック / 自由尊重主義(リバタリアニズム) / 所有論 / 経済的自由 |
Research Abstract |
今年度は主に次の三点を中心にして、研究を行った。 第一に、ジョン・ロックに関する二次文献の調査である。特にロック所有論の歴史的研究に関わる二次文献を収集・検討した。その過程で、ロック所有論がアメリカ植民地における先住民からの土地収奪の正当化に利用された事実をロック所有論全体の中にいかに位置づけるかを検討した。この課題は、近年の法哲学・憲法理論における所有論(先住民の土地所有観と環境問題など)の問題とも関連させて検討すべき論点であり、来年度に向けてさらに研究を深めたい。また、ロックの思想形成における『自然法論』の位置付けを再検討することにより、ロックの自然権思想形成過程における質的転換の契機を明らかにして、『統治二論』の所有に関する章の歴史的意義を再確認するための調査・検討を行った。この研究は近日中に論文化する予定である。 第二に、英米の政治哲学・法哲学における所有論の現況を調査・検討した。具体的には、ロバート・ノージックの『アナーキー・国家・ユートピア』以後の自由尊重主義(Libertarianism)の所有論を調査し、日本で自由尊重主義を採用する森村進教授の見解を批判的に検討した。また、近年の法哲学等における所有論の議論と政治思想史研究におけるロック研究の成果を接合するための方法論的検討を行った。以上の調査・研究に関しては、すでに論文を公刊している。 第三に、市場経済(自由市場)に関する経済学、社会思想史研究、及び法哲学等の最近の研究動向を調査した。この調査は、来年度に本格的に行う予定である、「戦後憲法学の『財産権二分論』の再検討」という本研究課題を遂行するための準備作業としての性格を持つものである。
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Research Products
(2 results)