2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12720040
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Research Institution | Kobe City University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
武田 邦宣 神戸市外国語大学, 外国語学部, 助教授 (00305674)
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Keywords | 独占禁止法 / 反トラスト法 / 合併規制 |
Research Abstract |
前年度に引き続き、合併規制の手続的問題について研究を行ってきた。折しも、米国において合併規制の手続的側面をについて定めたハート・スコット・ロディノ法が改正を受けるなど、研究対象である合併規制の手続的問題は独禁法研究において、重要な研究領域になりつつある。 今年度は、単に手続的規制の枠組みだけではなく、事前規制という合併規制手続において、どのような競争制限効果の排除措置、いわゆる「救済手段(remedy)」ないし、「条件(settlement)」が付されているかという点に注目し、重点的に研究を行った。米国では、連邦取引委員会のスタッフが、このような合併の条件についてレポートを公表し、ECでも、合併の条件について新たな告示が公表されている。それに呼応して、学説でも、合併の条件について議論が高まりつつある。そこでの議論は「先行買い受け人(up-front buyer)」、「既存営業の分離(divestiture of on-going business)」、「王冠宝石条項(crown jewel provision)」、「二段階審査(two steps investigations)」など、これまで我が国において深く検討されてこなかった論点が多数含まれている。現在、これら米国及びECの実務及び学説の展開を検討中であり、まとまり次第、論文となす予定である。 現在、我が国においては、日本航空と日本エアシステムとの統合について、公正取引委員会が問題点を指摘し、両社が合併審査をクリアすべく条件を検討中であると報じられている。このように我が国においても、合併における条件の問題は、重要かつ緊喫の問題であって、科学研究費に基づく研究成果について論文を公表することにより、学説及び実務に大きな貢献ができると自負している。
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