2000 Fiscal Year Annual Research Report
「離島刑事弁護」の実質化を阻む原因の究明およびその具体的解決策の提示について
Project/Area Number |
12720043
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Research Institution | Aichi Gakusen University |
Principal Investigator |
山上 博信 愛知学泉大学, コミュニティ政策学部, 講師 (20308802)
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Keywords | 刑事弁護 / 刑事訴訟法 / 司法過疎 / 島嶼(トウショ) / 弁護人 / 弁護士 / 離島振興 / フィールドワーク |
Research Abstract |
この研究課題は、次の2点において新規性がある。1・刑事法学においてフィールドワークの手法を確立するという点。2・司法制度改革審議会において十分議論されていない点に留意しつつ、日本各地で調査を行うという点である。 1に関しては、実際に刑事法学に関するフィールドワークの必要性さえ認識されていないため、その手法を確立するための基礎的な調査研究を行った。2に関しては、この研究課題に関する科研費採択申請を行った当時以上に、国内では司法改革に関する話題や司法制度改革審議会の議論の動向への注目が高まったので、全国の司法や自治体関係者の協力が容易に得られ、調査によって知ることのできた事実は、調査研究開始前の予想以上に大きなものがあった。 2000年度の研究に関しては、2面の論文のみならず、日本島嶼学会年次大会報告、日本弁護士連合会地域司法計画経験交流集会における講師としての報告、北海道弁護士連合会主催弁護士偏在問題サミットにおける発言など逐次的に実績の公表を行い、司法改革の議論に供してもらえるよう努力した。また、調査活動によって醸成された信頼関係をもとに法律家(弁護士・司法書士・税理士)を中心とする離島過疎地域の法律家サポートグループを結成することもでき、2001年1月末からは小笠原に訪問調査団長として、上記法律家17名と共に訪問調査を行った。また、今度は三宅島における噴火災害の罹災島民に対する司法援護のあり方の調査団も結成され、実際の法律相談援護活動にまで発展しようとしている。 この研究課題は、単なる調査研究にとどまらず、「法の実践」につながる必要がある。その点を踏まえれば、2000年度の研究調査活動は、成果があったと言うことができる。しかし、2001年度は、政府に対して出されるであろう司法制度改革審議会の最終答申に対する評価を中心とする研究調査のみならず、将来的には諸外国の過疎地域への司法援助活動との比較研究の準備にも発展し得るような研究活動を行う必要がある。
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Research Products
(2 results)