2000 Fiscal Year Annual Research Report
環境衛生規制の差異化と国際的調和化-その原因と対応
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12720049
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
城山 英明 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 助教授 (40216205)
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Keywords | 環境規制 / 衛生規制 / 調和化(ハーモナイゼーション) / 科学技術政策 / WTO(世界貿易機関) / 国際連合 |
Research Abstract |
本研究の目的は、国際貿易の拡大に伴い各国の環境・衛生規制の差異が非関税障壁とも認識されるようになる中で、国際的調和化の過程がどのようになっているのか、また、どのような課題を抱えているのかを明らかにすることである。具体的事例としては、自動車大気排出規制分野、食品安全規制分野を用いることとしている。以上のような全体的研究目標を達成するための基礎的な作業として、本年度は以下の2つ作業を主に行った。第1に、環境と貿易、科学技術と政策の交錯等に関する関連文献を広く収集検討し、分析のための枠組みの構築を試みた。その中で、科学的分野においては専門家のコンセンサスが成立するので、そのようなコンセンサスに基づいた調和化が可能であるという議論の問題を明らかにした。科学的分析については常に一定の不確実性は不可避なのであり、その残された不確実性を政治的に利用することが可能であるのである。そして、これが規制差異化の1つの重要な要因となるわけである。第2に、一定の実証研究のための資料収集・ヒアリングを行った。自動車排出基準の国際的調和化に関する資料収集・ヒアリングをアメリカ・スイスで行い、また、スイスでは国際的調和化に大きな影響を持つと思われるWTO(世界貿易機関)についてもヒアリング・資料収集を行った。今後は、今年度の成果を基礎に、実証的研究をさらに進めるとともに、これらの実証研究と前述の理論的観点をどのように接合していくのかについて考察を深めることが課題となる。
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