2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12720055
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
待鳥 聡史 大阪大学, 法学研究科, 助教授 (40283709)
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Keywords | 国会研究 / 参議院 / 自民党 / 閣僚ポスト配分 / 政党再編 |
Research Abstract |
本年度は初年度であったため、研究課題である政党再編期の参議院についての実証分析を加えるための前提的な作業から着手した。具体的には、政党再編期以前の参議院、とくに自民党における派閥化の進行とキャリア・パスの確立時期についての検討、および広く国会に関する近年の研究が持つ特徴の把握である。その際、他国の議会研究や現代政治分析の成果が広く参照されたことはいうまでもない。 これら二つの作業は、いずれも研究論文に結実した。まず前者については、参議院におけるキャリア・パス確立の出発点となった1971年議長選挙について分析を加えた論文「参議院自民党における閣僚ポスト配分ルールの形成」である。同論文は、参議院自民党においても、重宗議長という特異な指導者がいなくなったとき、衆議院と同様の制度化が進行し始めたことを指摘したもので、本補助金による研究課題の前史をなす時期を扱っている。また後者に関しては、レヴュー論文「国会研究の新展開」を著した。この小論では、1990年代後半以降の国会研究には、緻密な因果関係の把握と研究対象の拡大という2つの大きな特徴があることを指摘し、今後の課題についてもあわせて論じた。いずれの論文も、レフェリー・ジャーナルに投稿し査読を経て掲載されており、本研究課題の意義が評価されていることを示すものと考えられる。 来年度は2年目に当たるため、本年度の成果を踏まえつつ、中心的課題としての政党再編期に関する研究を行う予定である。本年度の研究により、類似したテーマに関心を持つ研究者が少なくないことも分かったので、こうした方々との協力も含め、より大きな成果を挙げられるよう努力したい。
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