2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12730001
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
紀國 洋 立命館大学, 経済学部, 専任講師 (90312339)
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Keywords | 耐久財 / 品質選択 / 中古市場 / R&D / 時間的整合性 / 賃貸契約 / 情報の非対称性 / 経済的陳腐化 |
Research Abstract |
(1)耐久生産企業が消費者に財を供給するときの契約形態が、企業のR&Dのインセンティブにどのように影響するかを分析した。品質改善に関する規模の経済が大きい場合には、販売契約による供給を行う企業の方がより高い品質の製品を供給することが明らかとなった。米国反トラスト法では、幾つかの耐久財産業において賃貸契約による財の供給を禁じているが、このような規定は企業のR&D活動を抑制させる可能性がある。また、中古市場の規模の拡大が企業のR&Dインセンティブを高めることを示した。 (2)耐久財生産企業が供給する財の経済的耐久性は、技術進歩率と物理的耐久性に依存することを理論的に示した。また、中古市場が存在しない場合の耐久財産業における経済的陳腐化の程度は、社会的には過少になる傾向があることを示した。しかし、中古市場の規模と経済的耐久性の間の関係を定量的に扱うためのモデル構築が残されている。 (3)Akerlofによる逆選択の理論を応用することにより、中古市場において中古財の売り手と買い手の間に情報の非対称性が存在する場合、耐久財生産企業が新製品の導入を抑制するインセンティブを持つことから、中古財の経済的耐久性が大きくなることを示した。製品の物理的耐久性の下限の水準が低いほど、または上限の水準が高いほど、経済的耐久性の大きさは拡大する傾向があることを示した。また、各消費者の嗜好が同質的になるほど、経済的耐久性の大きさは拡大する傾向があることが明らかとなった。
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Research Products
(1 results)