2000 Fiscal Year Annual Research Report
不完全モニタリングの繰り返しゲームにおけるシグナルの構造に関する-考察
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12730004
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
川上 敏和 福島大学, 経済学部, 助教授 (30292460)
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Keywords | 不完全モニタリング / 製品差別化 / 協調の可能性 |
Research Abstract |
当初、研究の目的は不完全モニタリングの繰り返しゲームにおいて、プレイヤーが獲得するシグナルの構造とゲームの利得構造が何らかの関連をもつような状況を想定し、その際のプレイヤー間の協調の可能性を探ることであった。その具体的な例として、製品差別化の問題を挙げた。つまり差別化の程度が狭い場合には、両企業の利害対立は大きくなると同時に獲得するシグナルも非常に似通ったシグナルを獲得することになるが、差別化の程度が広がっていくに従い、お互いの利害対立は希薄化し、お互いの観察するシグナルもまた遠いものとなるという状況下での協調の可能性を考察する予定であった。しかしながら、そのようなシグナル構造の分析は容易ではないことが、分かってきた。 そこで現在は、不完全モニタリングの状況において、ホテリングのロケーションモデルの繰り返しゲームを分析中である。より具体的には、2企業によるゲームを考え、ゲームの最初に企業が立地を非協力的に決定し、その後、価格競争繰り返しゲームを行う状況を考える。完全モニタリングの場合には、既に先行研究があり、その結果としては、両企業は中心に立地することになる。それに対して、私の研究では、モニタリングの精度が高いときには、企業は中心に立地し、精度が落ちると、企業は両サイドに立地するようになるという結果を得た。しかしながら、この結果はまだ例の域を出ない。今後はより一般的な状況に拡張していくことを検討している。
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