2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12730008
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
江口 匡太 東京大学, 大学院・経済学研究科, 助手 (50302675)
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Keywords | 法と経済学 / 解雇規制 / 労働組合 / 契約理論 |
Research Abstract |
契約理論の研究を法と経済学の視点から進めていった。法学者との研究会を重ねながら理解を深めるとともに、これまでの労働契約の研究成果を糸口に労働法の研究を経済学的視点から行った。今年度は、とくに日本や大陸欧州諸国に見られる解雇規制の経済分析について研究を進め、解雇規制が雇用を増加する可能性を理論的に示した。解雇規制の存在が雇用創出を妨げているという議論が、労働市場の規制緩和とあわせて根拠を示すことなく語られることの多い中で、規制の役割を明らかにしたこの研究成果は極めて貴重なものである。この論文は日本経済学会が発行している「現代経済学の潮流2000」(東洋経済新報社)に投稿され、審査に合格し掲載されている。また、解雇規制を実行ならしめるためには労働組合の役割が無視できない。この労働組合の重要性を指摘した論文"Unions as Commitment Devices"もJournal of Economic behavior and Organizationに受理され、近日掲載される予定である。この論文は不完備な契約形態における労働組合の雇用保障を求める行動の重要性を指摘し、新たな労働組合の役割を明らかにした。 また、解雇規制と一口に言っても、国によってそのあり方は様々である。適正な解雇と認められなかった場合に、労働者を救済される手段は大きく分けて二つある。一つは損害賠償を支払う場合ともう一つは職場復帰させる方法とである。日本は後者を救済手段としてとっているが、この救済手段の違いが与える影響についても研究を進めており、近日中に論文として成果をまとめる予定である。
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Research Products
(2 results)