2000 Fiscal Year Annual Research Report
メキシコの電子産業における米国系契約製造企業の展開からメキシコ国内経済に与える影響
Project/Area Number |
12730029
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
久松 佳彰 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助手 (30302839)
|
Keywords | メキシコ / 電子産業 / SCM / 構造調整 / 海外直接投資 |
Research Abstract |
本研究(二年間)の一年目である今年度は、メキシコの電子産業の発展動向の調査を行なうとともに、同産業がメキシコに多く立地した原因であるメキシコの政治経済環境の基礎調査を行なった。 メキシコ電子産業の発展の直接原因である米国電子産業は2000年においてこれまでの高成長を維持できておらず、米国内のハイテク産業のリストラクチュアリングをもたらしているが、メキシコでの生産にはそれほど影響を与えていない。その理由は、企業のリストラクチュアリングの方向性が高費用地域(アメリカ)から低費用地域(メキシコ)への生産移管にあるからである。これが現地調査の主要な発見であり、その他のデータの解析を鋭意進めているところである。 メキシコが電子産業における多国籍企業による海外直接投資を受け入れ始めたのは、70年代からであるが、1994年の北米自由貿易協定を境に海外直接投資額は倍増した。また、1980年代〜90年代からのメキシコの構造調整政策・経済構造改革の定着も大いに投資環境の整備に資した。本研究の一環として、このような構造調整の迅速な進行を可能にした政治経済要因の分析を行なった。明らかになったのは、経済学を専攻しマクロ経済官庁(財務省、予算計画省、中央銀行)で経験を積むことによって同様の思考法を持った官僚達が、農業、社会発展、労働、通商産業の各分野で次官・大臣職に就任し、経済全体に関わる構造改革を実施したからであった。 また、海外直接投資の政治経済学的な理論面からは、腐敗との関係が指摘されている。すなわち、腐敗の横行する経済では多国籍企業は国内市場向けを超えた生産立地を行いにくい。現在、この命題を約100ヶ国のクロス・セクション・データで検討しているところである。
|
Research Products
(1 results)