2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12730034
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
鈴木 純 神戸大学, 経済学研究科, 助教授 (40283858)
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Keywords | 社会的経済 / 協同組合 / 経済システムの多様性 / 経済システムの多元的把握 / 経済秩序政策 |
Research Abstract |
多様でありうる経済システムをどのように把握するか、すなわち経済システム概念の再構築は、近年経済システム論の領域において重要なテーマとなっている。本研究では、市場経済システム内部における企業組織の多様性という観点から、生産協同組合組織を取り上げた。協同組合を分析するにあたって、従来の二元的経済システム把握に代わり、第3の経済秩序としての「社会的経済」あるいはその構成原理としての「協同の原理」を明示的に取り入れた点は、本研究の独創的な点である。 協同組合の可能性として、人的資本投資にともなう諸問題を抑制する機能に注目し、そこから市場経済システムにおける協同の原理の役割を議論した。協同組合の経済的viability(存立可能性)とその構成原理としての協同の原理は、これまで別々に議論されてきた、あるいはその関連が十分に考察されてこなかったが、本研究での考察によって、その連関の一部を明らかにすることができた。ただし同時に、ここで示されたいくつかの制度的諸施策が、組織の置かれた市場環境と技術的条件のもとで可能であるという条件は、協同組合という協同の原理にもとづく経済組織のviabilityを制約するものとして示されている。 社会的経済という第3の秩序原理は、協同組合といった組織を分析する際には特に必要と思われるが、これを市場経済システムにおける諸企業組織の経済理論分析と接合することは大きな困難を伴う。経済秩序としての社会的経済そのものについての議論について、本研究では十分に触れることができなかったが、社会的経済の重要性を社会のあるべき全体像から議論するアプローチと並んで、それを担う経済組織の存立可能性について議論することは、分析的にも政策的にも重要である。人的資本に関する経済分析は、社会的経済というシステム原理とその経済的viabilityを連関させうるひとつのアプローチであるといえる。
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Research Products
(2 results)