Research Abstract |
平成13年度は昨年度の研究成果をもとに,土地資産市場および土地賃貸市場における主体行動を定式化した理論モデルの一般化を行う.第二にこの理論モデルをもとにパラメータの特定化した上で,数値解析を行い,市場に歪みをもたらすと言われている地価抑制策について,市場に対する中立性,効率性の観点からその歪みがどの程度発生しているかについて定量的な分析を試みている. 1.昨年度は,土地資産市場,土地賃貸市場,その他の財市場の中で世帯,企業,デベロッパー,金融機関等の行動に関して線形対数型の効用関数,生産関数を仮定し,静学的な一般均衡モデルを構築したが,本年度はより一般的なCES型の効用関数,生産関数を仮定したモデルを構築している. さらに,監視区域制度,総量規制等の地価抑制策に関する政策変数を内包できるようモデル改良を試みる. 2.作成した理論モデルをもとに,各関数のパラメータを特定化した上で,数値解析を実施するために,供給を固定した上で,東京圏を対象に土地資産市場,土地賃貸市場における需要関数を推定している.これについては,推定パラメータの一部が統計的有意性の条件を満たしていない可能性があるため,今後のより詳細な分析を行う必要があると考えられる. 3.各関数のパラメータを特定化し,数値解析を行っている.ここでは,監視区域制度の影響を分析するために,土地資産市場の価格そのものを凍結した場合,土地資産市場,土地賃貸市場の効率性がどの程度阻害されているかについて,等価的偏差を用いてその影響を測定している.さらに,総量規制についても不動産業向けの融資残高の伸びが一定水準を超えると発動されるため,融資残高を固定した場合についての効率性への影響を同様に分析している.
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