2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12730039
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
小西 秀樹 東京都立大学, 経済学部, 助教授 (50225471)
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Keywords | 公的年金 / 消費税 / 世代間再分配 |
Research Abstract |
消費税による年金財源の調達問題は、しばしば、現行の社会保険方式から税方式への転換という視点で把えられている。本研究では、まず、両方式の適切な定義とは何かという問題から出発し、現状でも巨額の補助金で基礎年金の運営がなされている点を考慮すると、「保険か税か」という視点よりも「賃金か消費か」という課税ベースの選択問題として消費税による財源調達問題を分析するのが有意義であるとした。そして、世代重複モデルの様々なバリエーションを用いて、財源調達の賦課ベースを賃金から消費へ変更した時に生ずる、貯蓄、資本蓄積、各世代の経済厚生,経済成長率などへの効果を計算した(一部は、まだ途中)。さらに、賦課ベースの変更が強いる、現在の引退世代への追加負担を「逆」二重負担と呼び、将来世代の享受する利益がそれを補償しうるか否か考察した。これまでの分析結果では、内生的な成長率のモデル以外では、引退世代の負担と将来世代の利益は現在価値において一致するため、消費税による財源調達は結局、世代間の所得再分配に過ぎないといえる。
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