2001 Fiscal Year Annual Research Report
ゼロエミッション構想に基づくエコタウン事業の実現可能性と地域経済への影響分析
Project/Area Number |
12730041
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
李 熊妍 龍谷大学, 経済学部, 助教授 (30316153)
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Keywords | エコタウン事業 / 北九州市 / 環境産業 / 産業連関分析 |
Research Abstract |
本研究では、「環境の産業化:静脈産業の集積化による地域経済振興を目指す」タイプのエコタウン事業を展開し、先駆的自治体として注目を集めている北九州市における地域経済への影響を、平成2、7年北九州市産業連関表(38部門)を用いて分析を行っている。その際、H12年度の研究結果(「環境関連事業展開における立地選定要因」『北九州市における環境産業の動向』PP.15-29)を踏まえて、三つのケースを想定している。まず、基準ケースでは計画とおりのネットワークが完成し、予想している経済的効果が期待される場合(投資規模:35億円、雇用:165人、平均消費性向:0.705)を想定している。つぎに、ケース1ではエコタウン内での物質循環が未完成の段階であることや多額の設備投資を必要とするものの、パートタイマーが多くを占めていることから雇用拡大による間接第二次効果が小さい場合(平均消費性向:0.655)を想定している。最後に、ケース2では将来構想としているごみ発電によるエネルギーがエコタウン内で利用される場合を想定している。 分析結果は、基準ケースの場合、2000年、2005年の市内総生産は、それぞれ4兆1889億円、4兆4048億円となり、就業者数は48万5549、50万4934人となる。ケース1での市内総生産は、それぞれ38億円(対基準ケース比0.091%)、37億円(同0.085%)の減少を示し、就業者数は、1千368人(同0.282%)、1千92人(同0.216%)の減少となっている。ケース2の場合、市内総生産は、それぞれ2億円(同0.005%)、40億円(0.0092%)の増加を示し、就業者数は、42人(同0.009%)、173人(同0.034%)の減少となる。この結果から、北九州市のエコタウン事業は、ネットワークが未完成の場合、生産額や就業者数が当初の予測より減少するものの、ケース2で想定しているような資源循環型経済活動が行われる場合、雇用はわずかに減少するものの、市内総生産の増加に伴って地域経済の活性化につながることが示された。
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