2000 Fiscal Year Annual Research Report
国際資本移動における直接金融の拡大と資本自由化政策の弾力的運用可能性
Project/Area Number |
12730044
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Research Institution | Daito Bunka University |
Principal Investigator |
立石 剛 大東文化大学, 経済学部, 助教授 (30253389)
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Keywords | 国際資本移動 / 証券投資 / 国際M&A / 直接投資 |
Research Abstract |
本年度は「外資系企業による資金調達活動と現地生産活動の結合形態および郷土に関する実態調査と分析」を行った。政府系統計機関、民間シンクタンク、インベストメント・バンク、機関投資家そして多国籍企業を調査対象とし、統計データ収集およびヒアリングを行った。 その結果、直接投資に代表される長期的国際投資活動とポートフォリオ投資に代表される短期的国際投資運動を連結させるデータ整備の必要性および後者による前者へのインパクトに付いての分析必要性が明らかになった。 まず1990年代の国際資本移動は銀行間信用という間接金融形態だけでなく証券投資を軸とした直接金融形態の活発化が見られる事を確認した。証券投資活動の分析に関する従来の分析手法は、金融的動機に基づく資本移動を短期的取引あるいはポートフォリオ投資、生産的動機に基づく資本移動を長期的取引あるいは直接投資として区別し、それらを別個のものとして分析してきた。しかし分析の結果、短期的証券投資と長期的直接投資が密接に関連している事が明らかになった。90年代以降に活発化した国際M&A活動がこの具体例である。M&A活動は従来は直接投資活動として分類されてきたが、近年、M&A活動に金融的性質が付加されはじめている。というのは調査の結果、ポートフォリオ投資運動の舞台である国際債券市場においてM&A活動の為の資金調達運動が活発化していることが明らかになったからである。このことは長期資本運動と短期資本運動が国際債券市場を通じて密接に関連しはじめた事を意味する。この結果、上記課題の分析にあたっては、多国籍企業による直接投資運動のみに着目して国際資本移動を分析するのではなく、その資金調達活動に着目し、M&Aを中心とした直接投資活動に対する資金調達先の影響力の分析にまで範囲を広げる必要性が明らかになった。
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