2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12730052
|
Research Institution | Tenri University |
Principal Investigator |
宮田 敏之 天理大学, 国際文化学部, 講師 (70309516)
|
Keywords | タイ貿易史 / タイ通関統計 / 米貿易 / タイの欧米商会 |
Research Abstract |
平成12年度の研究の主な実績は、以下の3点に集約することができる。第一に、戦前期タイに居住していた欧米人に関するリストの収集とデータベース化である。さしあたり1910年の香港で発行されたディレクトリーなどの年鑑類を用いて、北はウラジオストクから中国の諸港、バンコク、サイゴン、シンガポール、マニラに至る、いわゆる極東地域に在住していた欧米人個々の居住地、所属(企業、在外公館、本国各機関、現地政府、諸団体など)、さらには職種に関する情報をデーターベース化する作業を進行中である。こうしたディレクトリーに掲載された居住リストを通じて、当時、極東とみなされていた地域の中で、バンコクが欧米人、欧米資本にとって、どのような位置にあったかを確認することができる。さらに、タイ国関税局の作成したいわゆる「通関統計」は、現在、タイ国内では資料所蔵の制約から、連続した網羅的な収集が困難となっている。そこで、イギリスや日本国内の諸機関に分散して所蔵されている「通関統計」を1900年代から1930年代にかけて総合的に収集しなおし、タイの貿易発展、主要貿易品目の貿易拡大、さらにはバンコク港における国籍別の船舶出入港の推移を確認し、その入力・分析作業を行っている。これが第二点目である。そうした入力と分析作業を通じて、バンコクを中心としたタイの貿易発展と海運を今一度確認し、タイの欧米系資本の成長を分析する上でのマクロ的な背景を明らかにしようと試みている。第三に、タイの欧米系企業の経営資料を収集し分析する上での予備的作業として、タイの欧米系資本として戦前の米貿易やチーク貿易で重要な役割を果たしたボルネオ社やボンベイ・ビルマ社の成立と発展に関する基礎的文献の収集と分析を行っている。
|