2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12730086
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
岡村 秀夫 関西大学, 経済学部, 専任講師 (70319606)
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Keywords | 新規株式公開 / 新規公開企業 / ガバナンス構造 / コーポレート・ガバナンス |
Research Abstract |
新規に日本証券業協会に店頭登録を申請した企業の申請書類には、公開直前期の大株主の株式保有数、主要な経営データなどが含まれている。本年度の研究では、まず、先述の店頭登録申請書類から入手可能であった筆頭株主の株式保有比率、10大株主保有比率、売上高、経常利益、当期純利益の各データを抽出し、当該企業の店頭登録直後の決算期における各データと比較可能な形でのデータセットを作成した。このデータセットを元に、新規公開(店頭登録)前後での、ガバナンス構造ならびに主要経営指標の変化を検討したところ、以下の点が明らかになった。 1.株式所有の集中度は公開後に減少するものの,依然として高い水準であることが明らかになった. 2.銀行は新規公開後に保有比率を増加させた唯一の主体であった. 3.VC(ベンチャーキャピタル)の大半は新規公開後に保有比率を減少させており,持ち株をすべて売却する事例も半数程度あった. 4.売上高は,公開前から公開後にかけて,順調に増加している. 5.経常利益・当期純利益については,公開時点に向けて増加するが,公開後に減少することが明らかになった. 対売上高比でみても,同様の傾向が観察された. 来年度に向けた課題としては,新規公開企業としての特徴をさらに明らかにし,マクロ経済の動向等の影響をできるだけ除去するために,業種毎の平均値等などを用いて業績を基準化し,さらに厳密な分析を行う予定であり,既に一部は着手している.
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