2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12730097
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Research Institution | Sakushin Gakuin University |
Principal Investigator |
永見 尊 作新学院大学, 経営学部・経営学科, 助教授 (60275774)
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Keywords | 条件付監査意見 / リスク / 不確実性 / 未確定事項 / ゴーイング・コンサーン / 監査報告書 |
Research Abstract |
わたくしの研究目的は,条件付監査意見の意義を見出すことであります。本年度の研究計画は,条件付監査意見にはどのような内容が記載されているのか,またかかる意見の表明をめぐる事件にはどのようなものがあったのかを明らかにすることであり,本年度はとくに前者のテーマについて研究を進めてまいりました。 調査は,まず条件付監査意見の対象が未確定事項に限定された1963年度から,かかる形態の意見が廃止された1988年度までの25年間において,実際に株主宛年次報告書の中で公表された監査報告書の事例を収集・整理しました。そして,未確定事項の言語である不確実性の概念を経済学や保険論の領域から援用し,未確定事項を3つの形に類型化する試案をまとめました。この試案は,監査における未確定事項は,リスクの評価に起因するもの,情報や証拠の不足に起因するもの,および会計基準の曖昧さに起因するものに分類される,というものであります。この試案を本年度の日本会計研究学会自由論題において報告いたしました。 学会報告後,これらの類型において,とくにリスクに関連した未確定事項に焦点を絞って検討を進めました。そして,未確定事項におけるゴーイング・コンサーン問題を対象に,リスクとは何か,リスクと不確実性はどのように関係するのか,そしてそれらの概念からゴーイング・コンサーン問題はどのように説明されうるのかをまとめました。この内容を私的な研究会(監査理論研究会)において2度発表し,いくつもの有益なコメントをいただき,現在,報告の修正を行っております。
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