2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12740003
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
梶原 健 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (00250663)
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Keywords | 対数構造 / 一般ヤコビ多様体 / トーリック多様体 / アーベル曲面 |
Research Abstract |
本年度は,主に(a)対数代数幾何学の観点から,完備半安定曲線の族の一般ヤコビ多様体のコンパクト化,及び,(b)アーベル曲面から4次元非特異射影トーリック多様体への埋め込み,について研究した. (a)対数構造の理論の観点から,連結完備半安定曲線の一般ヤコビ多様体のコンパクト化の極小モデルを研究した.(極小とは限らない)コンパクト化は様々なアプローチで研究されてきたが,対数構造を用いた定式化により,そのようなコンパクト化で生成されるアーベル群の層が構成できる.これは,加藤和也氏(東大)による,(群構造をもつ)対数テイト曲線の高次元版の例を与える. (b)アーベル曲面を4次元完備非特異トーリック多様体への埋め込みに関する研究を行った.この埋め込みの存在が証明されると,セールの構成法により,4次元トーリック多様体上の直既約な階数2のベクトル束が定義できる.このベクトル束は,4次元射影空間上のホロックス・マンフォード束の一般化であり,興味深いベクトル束であると期待される.サンカラン氏の仕事(1999年)により,アーベル曲面をピカール数が2以下の4次元射影的トーリック多様体への(全非退化な)埋め込み可能性が研究された.しかし,彼が埋め込みを構成した例については間違いがあるため,アーベル曲面からの全非退化な埋めこみが存在する4次元非特異トーリック多様体は,射影空間やそれらの直積の場合等のよく知られている例しかない.そこで,いくつかの場合について(トーリック多様体の直積の場合や擬デルペッツォ多様体の場合など)考察し,自明なもの以外には全非退化な埋めこみが存在しないことが証明できた.
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