2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12740018
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
今野 拓也 九州大学, 大学院・数理学研究院, 助手 (00274431)
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Keywords | 保型形式 / 表現論 / L関数 / 対称空間 / 中零軌道 |
Research Abstract |
保型形式論は簡約群による対称性、あるいはその分析方法である表現論を整数論に活用するものである。そこで表現論の情報から保型形式の記述を引き出す際にも、その記述から数論的帰結を取り出す際にもともに用いられるのが(Arthura)跡公式である。しかし跡公式は"pure"な寄与をもつ保型形式を捉えるもので、そのためには"pure"でない保型形式を別途調べる必要がある。 今年度の研究においてはJohns-Hopkins大学で行われたJAMIプログラム、及び、Strasbourg大学、パリ大学での研究連絡を通じて,上述のpureでない保型形式が対称空間から構成されるという着想を得た。この着想を具現化するため次のような研究を実施した。 コンパクトでない対称空間上の表現を捉えるには中零部分群の作用による"Fourier展開"が有効だが、表現に対して部分群をうまくえらばないとFourier係数は消えてしまう。こうしたFourier係数の消滅条件のその表現の指標への外部自己同型の作用との関係を研究し、それが指標を外部自己同型で捩った超函数の漸近挙動で決まっていることを発見した、今後jacquet3による対称空間の相対跡公式への応用が期待される。 "pure"でない特異な表現が対称空間上に現れる表現の"リフト"として得られることを、実際に4変数ユニタリ群の場合に証明した。このような構想に見合った技術はまだ整っておらず,特に上の"リフト"の方法が存在しないのが問題である。今回扱った例ではテータ級数を使ってその代替物を作ったが、より一般的な方法を見つけるのが今後の課題である。
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