2000 Fiscal Year Annual Research Report
幾何的保型形式とアイゼンシュタイン級数に関する算術的商多様体の数論
Project/Area Number |
12740022
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
宮崎 琢也 慶應義塾大学, 理工学部, 講師 (10301409)
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Keywords | ジーゲル保型形式 / 導来関手加群 / アイゼンシュタイン級数 / ケッヒャー効果 / テータ対応 / アーサー指標 / 退化主系列表現 |
Research Abstract |
今年度の研究ではまず代数群の保型表現に関するアーサー指標を利用した分類予想を指針として,2次のシンプレクティック群の表現を中心に研究した.また高次のシンプレクティック・リー群の導来函手加群に対する無限素点での局所的アーサー指標と保型形式の持ち上げ理論との関連についても考察を行った.この結果まず2次のジーゲル保型形式において,正則な齋藤・黒川持ち上げと同等のアーサー縁類に属する2次のジーゲル保型表現の局所的な性質による特徴付けを行い,ShimuraおよびWaldspurgerによる1変数の半整数重さの保型形式と整数重さの保型形式の対応付けとの函手的な両立性を確認した.この結果例えば,全ての有限素点において不分岐であり,無限素点においてはある非緩増大的な導来函手加群を成分にもつ2次のジーゲル保型形式が存在することをテータ持ち上げの記述のもとで確認した.この導来函手加群を組成因子にもつジーゲル型の退化主系列表現を同定し,その結果上の非正則ジーゲル保型形式をこの退化主系列に対応するアイゼンシュタイン級数への類似を強調した記述であらわすという問題を定式化した.その際に必要となるベクトル値非正則ジーゲル型アイゼンシュタイン級数についての明示的定義を得て,あるスカラー値非正則アイゼンシュタイン級数を微分したものとして記述した.このベクトル値非正則アイゼンシュタイン級数についてはフーリエ展開に関して一般型のケッヒャー効果が成立していることが示される.この型のフーリエ展開をもつ保型形式の具体的構成は筆者の研究の範疇では始めて得られた大域的保型形式の例である.これを本年度にBruinierによって発表された,高次のヘグナー輪体の考察などの幾何的な背景を持って構成される保型形式と比較してデータを記述することが次の大きな目標となるように思われる.
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Research Products
(1 results)