2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12740031
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
藤原 耕二 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (60229078)
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Keywords | 自由群 / 双曲群 / 外部自己同型 |
Research Abstract |
今年度の研究で次のような結果を得た。論文はIsrael Journal of Mathematicsに掲載が決定している。 定理:Gを双曲群とし、そのエンドは一つとする。Γをセミシンプルでランクが2以上のリー群の格子群とする。hをΓからGの外部自己同型群への任意の準同型写像とすると、その像は常に有限である。 これは双曲群Gの外部自己同型群Out(G)の代数的な構造についての著しい結果である。特にOut(G)がリー群の格子部分群を部分群として含まないことを示している。ただし、双曲群とは1980年代にGromovにより導入された有限表示群のあるクラスで、これらの群の代数構造について幾何学的な立場から研究することは以来、離散群の研究において中心的な役割を果たしてきた。 さて研究課題「自由群の外部自己同型」との関係だが自由群は双曲群である。ただし自由群のエンドは一つでなく無限個なので、すぐにはこの定理は適用しない。しかしリー群の格子との関係において定理と同じ結果が成り立つと予想され、今回の定理はその有力な証拠と考えられる。今後も引き続き研究したい。定理の証明であるが、群GのJSJ分解に基づくOut(G)の分解に着目し、その各成分について定理の主張を示すことによる。ここでJSJ分解とは最近Rips-Selaによって発見された有限表示群の構造についての顕著な結果で、その後より一般の場合に私とPapasogluの共同研究で拡張されている。各成分の本質的な議論は曲面の写像類群についての議論に帰着し、特に曲面が閉曲面かつ向き付け可能の場合が最も本質的である。その他の場合は曲面のトポロジーについての議論から扱うことが可能である。
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Research Products
(1 results)