2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12740059
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
菊池 万里 富山大学, 理学部, 助手 (20204836)
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Keywords | マルチンゲール / Banach関数空間 / 再配分不変空間 / Hardy空間 / Orlicz空間 / 荷重付不等式 |
Research Abstract |
今年度に行った研究による成果は次の通りである。 1.荷重Orlicz空間L_Φにおけるweak type maximal inequalityが成立するために、確率空間上の荷重ωが満たすべき必要十分条件(A_Φ-条件)を確立した。この条件はL_Φを定義する凸関数ΦがΦ(x)=x^pの場合には、既に知られているA_p-条件と一致する。ただし、この結果が成立するためには、ΦがΔ_2-条件を満たすことを仮定する必要がある。 2.上記1においてΦがΔ_2-条件を仮定しない場合を考察し、A_Φ-条件を一般化することにより、上記1の結果の拡張を与えた。勿論ΦがΔ_2-条件を満たす場合には、上記1の結果と一致する。 3.Banach関数空間Xによって生成されるマルチンゲールのHardy空間H(X)を考察し、Xが再配分不変であるための必要十分条件がH(X)の性質を用いて表現できることを証明した。具体的には、「マルチンゲールfがH(X)に属せば、fの概収束極限f_∞の絶対値|f_∞|の生成するマルチンゲールもH(X)に属す」という条件が必要十分である。ここに、|f_∞|の生成するマルチンゲールとは、|f_∞|の条件付期待値を取ることによってできるマルチンゲールのことである。 4.再配分不変なBanach関数空間Xにおいて関数列がノルム収束するための十分条件を与え、これを用いてL_1-L_∞縮小作用素の列のXにおける強収束定理を証明し、この定理が大変多くの応用を持つことを示した。例えば、平均エルゴード定理、マルチンゲールやアシィンプトティックマルチンゲールのノルム収束定理、条件付平均作用素を繰り返し適用することによって得られる関数列のノルム収束への応用などが可能である。 上記の成果は4編の論文にまとめ、いずれも現在投稿中である。
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