2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12740082
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
川下 美潮 茨城大学, 教育学部, 助教授 (80214633)
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Keywords | 弾性方程式 / レゾルベント / レゾナンス / レゾルベントの極 / 局所エネルギー / レーリー波 / ストンレー波 |
Research Abstract |
弾性方程式のノイマン混合問題の解には、レーリー波と呼ばれている境界の上を伝わっている波が存在する。このような表面波を弾性表面波という。外部領域における弾性方程式においては、表面波は境界の近くに拘束されることが予想される。一方、一般に波の拘束現象は、混合問題に対応する定常問題の解(レゾルベント)のスペクトルパラメータに関する極(レゾナンスともいう)が実軸の近くに現れるという形で特徴付けられることがこれまでの研究で明らかにされている。 本研究の目標は弾性方程式の境界に沿って伝わる波が起こす拘束現象とレゾナンスとの間の関係を調べること、特に一般の非等方性の弾性体に対する境界値問題で、これまでの研究で得られた方法では解析できなかった場合を取り扱う方法について考えることが最も大きな目標であった。その中で、本年度は「異なる2種類の弾性体が接合している場合」について実軸に近づくレゾナンスの列の存在を示すことを主な目標に定めていた。 この場合にはストンレー波と呼ばれている接合境界上を伝わる波が存在する。本年度の研究によって、このストンレー波を捕らえるための道具立ての整備ができあがった。外部領域の場合はノイマン作用素を調べれば良いことが分かっていたが、本研究課題の場合には、ノイマン作用素に当たるものが何であるかが分かっていなかった。 これまでの研究を整理して、それらの特徴やアイデアを詳細に検討した結果、ノイマン作用素に当たる作用素を構成し、それが楕円型領域では実主要型の擬微分作用素になることを証明できた。次の段階としては、このことからこれまでの研究にある方法を発展させることにより、今年度の課題は解決するものと考えている。この件については現在検討中である。
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