2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12740089
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
木坂 正史 京都大学, 人間・環流学研究科, 助教授 (70244671)
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Keywords | ジュリア集合 / 整関数 / 対称性 |
Research Abstract |
本課題の目的は対称性のあるジュリア集合を持つ整関数の力学系的性質について研究することにあった.今年度は特に次のような結果を得た. まずfが多項式の場合に,fのジュリア集合を不変に保つEuclid等長写像のなす群は4つタイプに分類されることを示した.更にそれぞれの場合について,fと同じジュリア集合をもつ多項式gがどれだけあるか,またそれらのうちどれくらいのものがfと反正則写像によって共役になるかを決定した. 次に超越整関数の場合についてだが,当初は1つの対称性(例えば平行移動不変性)を固定して,その対称性をもつfの特徴づけを行う予定であったが,fのジュリア集合に関する一般論が乏しいため,結果に至るための糸口もなかなかつかめていない.そこで考え方を変えて,すべての超越整関数を相手にするのではなく,あるサブクラスを設定して,その中でこのジュリア集合の対称性の問題を考えることにした.そのサブクラスとは「構造有限な超越整関数」というものである.得た結果は以下のようなものである: このクラスの超越整関数のジュリア集合のある部分集合に含まれる点については,itineraryが考えられ,同じitineraryを共有する点全体の集合は,半直線に同相な曲線をなし,更に,その上の点の軌道は写像の反復によって無限遠点に向かうことを証明した. 現段階では,構造有限な超越整関数のジュリア集合の性質が多少わかっただけで,もともとの対称性に関する結果はまだ得られていない.この結果を足がかりに,少なくともこのクラスにおけるジュリア集合の対称性の問題の解決を目指したい.これは来年度の課題である.
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Research Products
(1 results)