2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12740115
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
筧 三郎 立教大学, 理学部, 講師 (60318798)
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Keywords | 可積分系 / ソリトン / リー代数 |
Research Abstract |
昨年度は,「結合型KP階層」と呼ばれるソリトン方程式の階層を主に研究し,その階層が無限次元リー代数D_∞の対称性を持つことを見出し,それに関する研究を行った。それに引き続き,本年度は扱うリー代数の範囲を広げ,トロイダル・リー代数と呼ばれる新たなクラスの対称性を持つ方程式を研究し,新たな微差分ソリトン方程式を発見することができた(広島大・太田泰弘氏との共同研究)。得られた結果については,次の論文で発表した:S.Kakei and Y Ohta, J.Phys.A34(2001)10585-10592.この論文で扱っている方程式では,特殊解は行列式で表示される。パフィアン解を持つ場合に拡張可能かどうかは,現在研究中である。 また,矢嶋・及川方程式と呼ばれる方程式の研究も行い,それがA_2^(1)型リー代数の,「3=2+1」という分割に対応する表現と関連していることを見出した(岡山理科大・池田岳氏,東北大・菊地哲也氏との共同研究)。Drinfeld-Sokorovの方法の立場からも研究を行い,表現論的な部分は一通り理解できたと言ってよい(現在論文準備中)。これまでに得られた結果については,以下の学会で報告している: ●「Weyl群の共役類に付随するソリトン方程式」 (日本数学会秋季総合分科会,九州大学,2001年9月) ● 「矢嶋・及川方程式」(日本数学会年会,明治大学,2002年3月) 矢嶋・及川方程式は「拘束KP階層」という階層との関連も指摘されていて,我々の視点との関連を調べることは今後の課題の一つである。また,この研究で得られた「個々の分割に対して,それぞれ異なるソリトン方程式が対応する」という視点を,D型の場合にも拡張するという試みを,現在行っているところである。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Saburo Kakei, Yasuhiro Ohta: "A differential-difference system related to toroidal Lie algebra"Journal of Physics A : Mathematical and General. 34・48. 10585-10592 (2001)
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[Publications] 筧 三郎: "結合型KPヒエラルキーの対称性・離散化・超離散化"京都大学数理解析研究所講究録. 1221. 199-208 (2001)