2000 Fiscal Year Annual Research Report
半空間上での離散型ボルツマン方程式の進行波解の存在及び漸近安定性
Project/Area Number |
12740116
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
西畑 伸也 東京工業大学, 大学院・情報理工学研究科, 助教授 (80279299)
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Keywords | ボルツマン方程式 / ブロードウェル・モデル / 進行波 / 漸近安定性 / 純拡散型境界条件 / 反射型境界条件 |
Research Abstract |
離散的ボルツマン方程式は、気体分子の持ちうる速度が有限個であることを仮定し、それぞれの分子の衝突を考慮して得られる。この方程式は、希薄な気体の運動を表現すると信じられている。当然、気体分子が障壁と衝突することをも考慮した設定下での数学的解析は、流体力学や航空工学等の応用面からも興味を待たれている。 本研究では、半空間上での離散的ボルツマン方程式の解の漸近安定性について解析を目的としている。特に、進行波と呼ばれる定常解に摂動を加えた場合の解の漸近挙動の解明を主目的とする。本年度は研究遂行の第一歩として、離散的ボルツマン方程式の典型例であるブロードウェル・モデル方程式の半空間上での時間大域解の存在及び安定性の研究に取り組み、次のような結果を得た。半空間上で同方程式に純拡散型境界条件を課し、正の速度を持つ進行波解に摂動を加えた関数を初期値とする時、時間大域解が一意的に存在して、その解は時間の経過とともに元の進行波に漸近収束する。つまり、境界に対して正の速度を持つ進行波解が漸近安定であることを証明した。以上の結果は、近日中に研究誌に発表する予定である。 今後はこの研究に引き続いて、一般の離散型ボルツマン方程式の進行波の半空間上での安定性に取り組む予定である。これまでの研究はこの問題は肯定的に解決できることを示唆しているが、一般の離散型ボルツマン方程式では進行波の存在そのものが十分に解析されていない等、今後の研究にはかなりの困難が予想される。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Shinya Nishibata and Shuichi Kawashima: "Stationary waves for the discrete Boltzmann equation in the half space with reflective boundaries."Commun.Math.Phys.. 211. 167-182 (2000)
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[Publications] Shinya Nishibata: "Asymptotic behavior of solutions to the model system of radiating gas with discontinuous initial data"Mathematical Models and Methods in Applied Sciences. 10. 1209-1231 (2000)
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[Publications] Shinya Nishibata and Kenji Nishihara: "Large Time Bahavior of Solutions to the Cauchy Problem for one-dimensional thermoelastic system with dissipation"Journal of Inequalities and Applications. (to appear).
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[Publications] Shinya Nishibata and Shuichi Kawashima: "A singular limit for hyperbolic-elliptic coupled systems in radiation hydrodynamics"Indiana Univ.Math.J.. (to appear).