2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12740117
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
石垣 剛 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (40312384)
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Keywords | 光学赤外線天文学 / ホログラフィック回折格子 / 分光装置開発 |
Research Abstract |
前年度に続き、近年光学赤外線天文学分野で注目されているボリュームフェイズホログラフィック(VPH)回折格子の試作実験を行った。前年度の銀塩乳剤(PFG-03C)に加え、PFG-04という重クロム酸ゼラチンを材料とした市販の感光材を新たに使用し、80%の回折効率を持つ透過型VPH回折格子の製作に成功した。また、今回製作した直径50mmの回折格子は、その全範囲において、溝間隔や回折特性が十分な一様性を持つことを確認した。その結果、50mm径全体を使用したとしても、波長分解能の劣化が問題となることなく分光測定を行うことができる。このように本研究を通して、実際の観測に適用するに十分な性能を持つ高効率VPH回折格子を、市販の記録材料を用いることによって安価に製作できることがわかった。これにより、VPH回折格子の特長を活かした様々な観測手法の開発へとつながる基盤を確立できた。 そのVPH回折格子の技術の応用例として、マルチプレックス回折格子の試作を行った。これは2枚の溝数の異なるVPH回折格子を重ね、波長の離れた2つの波長域を同じ回折角で分散させるものである。これを用いれば、一つの検出器で2波長域を同時に観測できる。製作したものは490nm付近をターゲットとする1350本/mmと660nm付近をターゲットとする1000本/mmのものである。これらを重ねてマルチプレックス型とし、実験室に分光光学系を構築し実際に分光測定を行った。その結果、2つの波長域を正しく、それぞれ50%を超える回折効率で測定できることを確認した。また、マイクロレンズアレイを用いた三次元分光装置に適用することを目指し、そのための予備的な実験も行った。
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