2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12740118
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
中本 泰史 筑波大学, 物理学系, 助手 (60261757)
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Keywords | 原始星 / 輻射輸送 / エネルギースペクトル分布 |
Research Abstract |
本研究の目的は,2次元および3次元の輻射輸送計算を行って複雑な密度分布を持つ系からの輻射輸送を正確に求め,それを利用して観測される原始星の性質を明らかにすることであった.この目的のためには,まず,計算手法を確立させる必要があった. 本研究において,2次元の輻射平衡計算コードが完成し,実用に供されるようになった.このコードを用いてシミュレーションを行った結果,次のような新たな知見が得られた. 1.原始星の真の光度と観測される光度とは異なるものであること.そしてそれは,天体の観測角度に依存していること.またさらに,それらの依存性も定量的に明らかにした. 2.観測されている天体のスペクトルを用いて,天体の観測角度を推定する手法を考案した. 3.従来知られていた原始星の現象論的な分類と,天体の実際の物理的状態との間の関係が,単純ではないことを見出した.これは,物理的には異なる天体が,観測的には同じカテゴリの天体として現象論的に分類されている可能性があることを示唆している. 以上の成果をふまえ,今後はさらに定量的に,観測される情報から各天体の真の物理的な姿を明らかにする手法を開発することを試みたい.また,その手法を多数の原始星候補天体に適用し,原始星の真の姿を解明すること,およびそれらの統計的な性質を明らかにすることが必要であると思われる. なお,本研究の副産物として,多次元輻射輸送計算の手法を3次元非一様密度分布初期宇宙における光再電離過程に応用した研究においても成果が得られたことを特に付記しておきたい.またさらに,原始星において形成されると予想されている原始惑星系円盤内の現象により,現在隕石に見られる特徴的な構造(コンドリュール)が形成される可能性があることも明らかになった.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Taishi Nakamoto, Masayuki Umemura, Hajime Susa: "The Effects of Radiative Transfer on the Reionization of an Inhomogeneous Universe"Monthly Notices of Royal Astronomical Society. 321. 593-604 (2001)
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[Publications] A. Iida, T. Nakamoto, H. Susa, Y. Nakagawa: "A Shock Heating Model for Chondrule Formation in a Protoplanetary Disk"Icarus. 153. 430-450 (2001)
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[Publications] Hajime Susa, Taishi Nakamoto: "On the Maximal Size of Chondrules in Shock Wave Heating Model"Astrophysical Journal. 564. L57-L60 (2001)