2000 Fiscal Year Annual Research Report
Threshold領域におけるe^+e^-→tt^^-過程の精密計算
Project/Area Number |
12740130
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
隅野 行成 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (80260412)
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Keywords | トップ・クォーク / e^+e^-加速器 / クォーコニウム / 輻射補正 / エネルギースペクトル / large-β_0近似 |
Research Abstract |
平成12年度の研究成果は、(1)large-β_0近似で、クォーコニウム1S状態のエネルギースペクトルをO(α^5_sm)で計算したこと。(2)その結果を用いて、将来のe^+e^-加速器における、トップ・クォークの質量の測定精度を調べたこと。(3)kinematical fitにより、tt^^-のthreshold近傍でトップ・クォークの運動量の測定精度をどの程度向上させることが可能か、モンテカルロ・シミュレーションを用いて調べた。(1)では、最近進歩しているリノーマロン相殺の理論に基づいて、クォーコニウムのエネルギースペクトルを従来よりも高い精度で予言するために必要な計算を明らかにするとともに、必要な2つの要素のうちの1つ(large〜β_0近似でのO(α^5_sm)補正)を、1S状態に関して、新たな計算方法を開発して、解析的に計算した。結果は論文として発表した。(2)においては、(1)で得られた結果を用いて、将来e^+e^-加速器のtt^^- threshold領域におけるトップ・クォークの質量の精密測定に対して予測される効果を調べた。従来の理論計算の精度では、理論的な不定性が150MeV程度であったが、予定される実験精度を鑑みると、50MeV程度の理論精度が望まれる。今回の計算結果はそのために必要な計算の一部となっていることを示し、更にこれ以外に必要となる理論計算を列挙した。これらの研究結果は、将来e^+e^-加速器の国際ワークショップで発表した。(3)においては、tt^^- threshold領域におけるトップ・クォークの運動量の測定のシミュレーション解析を行なった。新たにKinematical fitを使った方法を開発し、従来の解析方法に基づく測定精度を有意に向上させられることが分かった。現在、結果を論文発表するべく準備中である。
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Research Products
(1 results)