2000 Fiscal Year Annual Research Report
重陽子-ヘリウムチ後方散乱によるヘリウム4D状態波動関数の研究
Project/Area Number |
12740135
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
上坂 友洋 埼玉大学, 理学部, 助手 (60322020)
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Keywords | 冷却標的 / 偏拯重陽子ビーム / ヘリウム4 / ロ状態波動関数 |
Research Abstract |
本年度は冷却標的の製作を行った。標的は、ライボルト社の4.2K冷凍機の第2ステージ先端に厚さ2mmの銅製セルを取りつけたものである。セルの両面には厚さ6μmのハーバー膜が張られていて、その内部に標的物質を封入する。標的部は外部の熱輻射にさらされないように冷凍機の第1ステージ(約60K)に取付けられた筒に覆われている。標的温度は、標的のごく近くに取付けられた半導体温度センサで測定し、その内部圧力はバラトロン圧力センサで測定した。温度の制御は、冷凍機と標的セルの間に挟み込まれたヒーターに流す電流を調整することによって行う。 同標的の性能テストのため、水素を封入しこれを液化してイオンビーム実験に適用した。ビームは270MeVの重陽子であり、ビーム電流が50nA時の厚さ2mmの液体水素に対する熱負荷は約10mWである。標的温度が17Kになるようヒーターの電流値を設定した時、ビーム照射時と非照射時の温度変化は約+0.3Kと得られ、ヒーター電流にフィードバックをかけて温度制御をすることなく、安定な運転が可能であることを確かめた。更にハーバー膜の膨らみによる標的厚さの不定性を除くため、散乱断面積が既知の陽子-重陽子弾性散乱の測定を行い、その収量から標的厚さを2.8mm(両面のハーバー膜が0.4mm膨らんでいることに対応)と得た。来年度は同標的にヘリウムを封入して液化し、重陽子-ヘリウム4後方散乱の測定を行う。 また、重陽子-ヘリウム4後方散乱の重陽子移行模型による理論的解析の検討を、ウクライナのA.P.Kobushkin教授と共同で始めた。
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