2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12740138
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山田 章一 大阪大学, レーザー核融合研究センター, 助教授 (80251403)
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Keywords | 超新星 / 重力崩壊 / ニュートリノ / コンパクト天体 / 重元素合成 |
Research Abstract |
重力崩壊型超新星の、爆発のメカニズムには、ニュートリノの輸送が重要な役割を果たしているということに関しては、多くの研究者の意見が一致しているところである。本研究は、この点を大規模な数値計算により、定量的に明らかにすることを目指している。そのために開発してきたボルツマン方程式を近似なしに解くコードは、原始中性子星の準静的進化によるテストを終え、いよいよ重力崩壊に応用する段階に至った。現在その初期モデルを用意しているところである。 一方、このコードの一つの拡張として、昨今注目を集めているニュートリノ振動の効果を取り込むことを目指した。ニュートリノ振動は、3世代あるニュートリノが、お互いに変換し合うもので、もしそれが超新星コア内で起これば、爆発のメカニズムに大きな影響を与えうるのみならず、以前なぞであるパルサーの高速固有運動の説明をも可能にするかもしれず、非常に重要な過程である。これまで、ニュートリノ振動を数値コードに組み込むべく、輸送方程式の枠組みでその定式化を行ったものはなかった。筆者は、非平衡系の場の理論を用い、ニュートリノ振動がある場合のボルツマン方程式を導出し、上記の輸送コードに組み込むための方法を示した。(発表論文1)。これを実際にコードに組み込むことは、次年度の課題の一つである。 また、上記コードは超新星コアでのr過程重元素の合成計算にも応用され、比較的重い原始中性子星における、ニュートリノ風で、太陽組成に近い重元素を再現できることを示した(発表論文2)。また、こうした標準的モデルに変わるものとして、軽い超新星コアでの即時爆発によるr過程重元素合成の可能性も発見し、現在論文を執筆中である。さらには、新たに得られた状態方程式を用いた即時爆発のモデル計算も行い、同じく論文を執筆中である。また、今後強磁場超新星を研究する必要が出てくることを想定し、強磁場下の真空の性質(分極率)を場の理論を用い調べ、屈折率の近似式と有限温度密度への拡張性を定式化した(論文投稿中)。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Shoichi Yamada: "Bottzmann equations for neutrinos with flavor mixings"Physical Review D. 62. 093026 1-12 (2000)
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[Publications] K.Sumiyoski,H.Suzuki,K.Otsuki,M.Terasawa & S.Yamada: "Hydrodynalnical Study of Neutrino-Driven Wind as an r-Process Site "Publication of Astronomical Society of Japan. 52. 601-611 (2000)