2001 Fiscal Year Annual Research Report
有限温度・有限密度におけるQCDとハドロンの現象の研究
Project/Area Number |
12740144
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
原田 正康 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助手 (40311716)
|
Keywords | 量子色力学(QCD) / 隠れた局所対称性 / 低エネルギー有効理論 / ベクトル中間子ドミナンス / カラー超伝導 / シュビンガー・ダイソン方程式 |
Research Abstract |
今年度は、昨年度の研究を継続・発展させ、軽いクォークの数を仮想的に増やしたラージ・フレーバーQCD、および、有限温度・有限密度QCDにおける相転移を中心に研究を行いました。 1.ラージ・フレーバーQCDにおけるベクトル中間子ドミナンスの破れ π-中間子の電磁形状因子は、現実世界では光子がベクトル中間子を媒介してπ-中間子に結合している過程が支配的です。私は、昨年度の研究を発展させ、QCDの低エネルギー有効理論である「隠れた局所対称性」模型を用いて、ラージ・フレーバーQCDにおいてこの電磁形状因子を調べました。そして、カイラル相転移点の近傍では、ベクトル中間子ドミナンスが大きく破れていることを示しました。(成果はPhysical Review Lettersに掲載) 2.ハドロン相からカラー超伝導相への相転移の研究 低温・高密度においては、QCDは、クォークとクォークがクーパー対を形成するカラー超伝導相にあることが、最近の研究から期待されています。私は、この相転移を、クォークの伝播関数に対するシュビンガー・ダイソン方程式をラダー近似を用いて解くことにより調べ、この相転移は一次であることを示しました。(成果はProgress of Theoretical Physicsに掲載) 3.有限温度・有限密度QCDにおけるπ-中間子質量の変化 私は、昨年度行ったラージ・フレーバーQCDに対する解析を発展させることにより、「隠れた局所対称性」模型を用いて、有限温度におけるπ-中間子質量の変化を調べました。そして、カイラル相転移が起こる臨界温度近傍では、π-中間子質量が非常に小さくなることを示しました。また、同様の方法を用いて、有限密度相転移点近傍でもπ-中間子質量が非常に小さくなることを示しました。(成果は論文にまとめ、現在投稿中)
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] 原田正康: "Wilsonian matching of effective field theory with underlying QCD"Physical Review D. Vol.64, No.1. 014023,1-14 (2001)
-
[Publications] 原田正康: "Fate of vector dominance in the effective field theory"Physical Review Letters. Vol.87, No.15. 152001,1-4 (2001)
-
[Publications] 原田正康: "Phase transition in dense QCD with the Schwinger-Dyson equation"Progress of Theoretical Physics. (発表予定). (2002)