2000 Fiscal Year Annual Research Report
ヘキサフルオロベンゼンをベースとした液体シンチレータによる宇宙暗黒物質の探索
Project/Area Number |
12740164
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Research Institution | The High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
伊藤 寛 高エネルギー加速器研究機構, 放射線科学センター, 助手 (50300679)
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Keywords | Dark Matter / Neutralino / low bark ground / Liquid Scintilator |
Research Abstract |
渦巻銀河の回転曲線の観測等から存在が指摘されているDark Matterの候補として、既知及び未知の素粒子が提案されている。これらの素粒子は、宇宙初期に生成され、その後宇宙の膨張によって物質との熱平衡状態からdecoupleし、現在まで宇宙空間中に存在していると予想される。現在、超対称性理論で予想されるニュートラリーノと呼ばれる粒子が宇宙の構造進化を考えた上でもこの様なDark Matterの有力な候補として挙げられている。もし、ニュートラリーノがDark Matterであれば地球上に置いた検出器中の原子核との断性散乱により検証することが原理的に可能である。ただし期待されるニュートラリーノ-原子核弾性散乱の確率が非常に小さいため、地上に置く検出器には出来るだけニュートラリーノとの散乱断面積の大きな原子核を含んでいることが要求される。 本研究で用いるヘキサフルオロベンゼン(C_6F_6)にはニュートラリーノとスピンを通して結合するフッ素(^<19>F)が多く含まれ、検出器としてニュートラリーノ探索上非常に有利な面を持っている。 本研究においては信号のBack Groundとなる天然の放射性同位元素の混入を避けるよう検出器の容器に石英を用いた低バックグラウンドのヘキサフルオロベンゼンベースの液体シンチレーション検出器を製作し、ヘキサフルオロベンゼン(C_6F_6)のシンチレータとしての性能の検証を行なった。また、ニュートラリーノとの原子核リコイルにより与えられるエネルギーは非常にちいさいので地上の実験室において低エネルギー領域におけるバックグラウンドの測定を行ない、ニュートラリーノ検証にたいする目安を得た。
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