2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12740170
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
池沢 道男 筑波大学, 物理学系, 助手 (30312797)
|
Keywords | 半導体量子点 / コヒーレントフォノン / セレン化鉛 |
Research Abstract |
燐酸ガラス中に成長させたセレン化鉛(PbSe)量子点についてフェムト秒ポンププローブ法を適用してコヒーレントフォノンの観測を行った。実験配置は透過型で、観測したコヒーレントフォノン信号は、フェムト秒ポンプ光パルスの入射後にサンプルを透過してきた全プローブ光量のうち百万分の一ほどのスケールでの正弦的な強度変調として得られた。その振動周期は2psの程度であったが、これはサンプルの粒径に依存して変化し、小さい粒径の試料ほど速い振動を示した。このような特徴から、観測されたコヒーレントフォノン信号は量子点に閉じ込められた音響フォノンと考えられた。このモードの粒径依存性としては、振動数が粒径の逆数に比例するということが知られているが、そのような粒径依存性も確認された。 この系におけるコヒーレントフォノンの生成に関しては、初期位相がおおむねcosine的であり、時刻ゼロでコヒーレントフォノンの振幅が最大になっていることから、パルス入射に伴って多数のキャリアが作られ、それによって原子間隔が広がり量子点全体が膨張することから振動が始まると考えられた。 観測されたコヒーレントフォノン振動の減衰時間は振動周期とほぼ同程度で非常に速いが、これは、実験に用いたサンプルの粒径分布を単に反映するものであって、真にコヒーレントフォノンの減衰を見ていることにはならない。そこで、今後共鳴励起下で同種の観測を行い、実効的に粒径分布を狭める事によりコヒーレントフォノンの減衰時間を観測して減衰メカニズムを議論したいと考えている。また観測された音響フォノンモードのラマン散乱による観測も現在準備中である。
|