2000 Fiscal Year Annual Research Report
超強磁場下でのサイクロトロン共鳴を用いた半導体短周期超格子中の電子有効質量解析
Project/Area Number |
12740182
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
百瀬 英毅 大阪大学, 低温センター, 助手 (80260636)
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Keywords | 化合物半導体超格子 / 電子有効質量 / サイクロトロン共鳴 / 2次元電子ガス / 電子輸送現象 / 分子線エピタキシー法 / フォトルミネッセンス法 / ホール効果 |
Research Abstract |
本年度は実験試料作製と電子有効質量の精密測定に向けての実験装置改良に重点を置いた。 本研究ではIII-V化合物半導体の中でもIn系に注目し、(InGaAs)_n/(GaAs)_n超格子、(InGaAs)_n/(AlAs)_n超格子を対象とした。超格子構造は分子線エピタキシー(MBE)装置を用いてGaAs基板上に成長させ、フォトルミネッセンス(PL)法を用いて結晶性を、ホール効果測定により電子輸送特性を評価した。(InGaAs)_n/(GaAs)_n超格子、(InGaAs)_n/(AlAs)_n超格子は、ヘテロ界面で格子定数が一致しない歪超格子として知られている。MBE装置を用いて100周期以上の結晶成長を行ったが、歪により転移が発生し、表面付近での結晶性の低下が見られた。次年度も成長条件の精査を行い、サイクロトロン共鳴用の試料作製を継続することとした。 実験装置の改良としては、サイクロトロン共鳴測定装置の試料ホルダ部分の改善、及び、超強磁場発生装置の信号系統の見直しを行った。これにより、磁場や検出用レーザ光が試料に対して斜めに入射した場合の測定が可能になった。また、ケーブル長の最適化、コネクタの改良、積分器などの調整などを行い、磁場測定精度改善が図られた。 本年度の研究において、超格子をPL法によって評価する際に、強電場をヘテロ界面と平行に印加すると、負電極付近でPL信号が急激に減少する現象が見られた。モデルを簡単化するためにGaAs/AlGaAs変調ドープ単一ヘテロ構造の試料を作製し、試料上にホール効果素子を形成して顕微PL法により発光特性を調べた。この結果、電場の増加とともに負電極近傍の数十μmの範囲でPL信号が大きく減少することが確認できた。一方、正電極付近ではPL信号の変化は少なく、信号が増減するなどばらつきが生じた。
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