2000 Fiscal Year Annual Research Report
放射光を利用した光電子分光法によるマンガン酸化物の電子状態の研究
Project/Area Number |
12740189
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Research Institution | The High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
齋藤 智彦 高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 助手 (30311129)
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Keywords | マンガン酸化物 / 光電子分光 / 放射光 / 二重ペロブスカイト / 巨大磁気抵抗 / 電子状態 |
Research Abstract |
光電子分光法は物質の電子状態を直接観測する実験手法であるが、試料表面の状態に敏感なため、試料表面の処理が重要となる。近年、特に遷移金属酸化物についてはやすりがけ表面と劈開/破砕表面とでかなりスペクトルが異なり、よりバルクの性質を反映していると考えられる劈開/破砕表面での測定が必要であることが解ってきた。中でもマンガン酸化物はとりわけ表面のストレスに敏感であるので、本研究でも簡単に試料を劈開あるいは破砕するための装置をまず開発し、これを用いて65eVから200eVまでの放射光で(角度積分型の)光電子分光測定を行なった。 測定は、(A)ペロブスカイト型マンガン酸化物La_<0.6>Sr_<0.4>MnO_3及びLa_<1.2>Sr_<1.8>Mn_2O_7の温度変化スペクトル、(B)二重ペロブスカイト型鉄モリブデン酸化物Sr_<2-x>La_xFeMoO_6の低温スペクトル、の2つについて行なった。その結果、(A)については、La_<0.6>Sr_<0.4>MnO_3の試料において、以前のやすりがけ表面についての研究[1]同様の温度変化が観測され、加えてこれが特定の電子状態のみ変化している可能性[2,3]を強く示唆する結果が得られた。また(B)については、二重ペロブスカイト型酸化物特有のものと考えられる2ピーク構造のスペクトルが得られ、バンド計算との比較からFe及びMoの状態の分布について知見が得られた。またLaドープ試料との比較から、電子ドープによる電子構造の変化を見出した。さらにやすりがけによる測定も行ない、破砕表面と比較してスペクトルの違いを確認した。 [1]T.Saitoh et al.,Phys.Rev.B 56,8836(1997). [2]A.Sekiyama et al.,Phys.Rev.B 59,15528(1999). [3]T.Saitoh et al.,Phys.Rev.B 61,1039(2000).
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Research Products
(5 results)
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[Publications] D.S.Dessau and T.Saitoh: "Intrinsic Versus Extrinsic Pseudogaps in Photoemission Spectra of Poorly Conducting Solids"Science. 287. 767a-767a (2000)
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[Publications] T.Saitoh et al.: "Temperature-dependent pseudogaps in colossal magnetiresistive oxides"Phys.Rev.B. 61. 1039-1043 (2000)
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[Publications] Satoru Suzuki et al.: "Resonant Photoemission Spectroscopy of Ga 3d Tow-Hole States of GaAs"J.Phys.Soc.Jpn. 69. 1807-1811 (2000)
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[Publications] J.Okamoto et al.: "Magnetic circular x-ray dichroism study of La_<1-x>Sr_xCoO_3"Phys.Rev.B. 62. 4455-4458 (2000)
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[Publications] Satoru Suzuki et al.: "Observation of Ga 3d Two-Hole States from GaAs Surfaces"Appear in J.Electron Spectrosc.Relat.Phenom.. (2001)