2000 Fiscal Year Annual Research Report
周期的アンダーソン模型における非局所動的相関効果の拡張動的平均場理論による研究
Project/Area Number |
12740194
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
清水 幸弘 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (70250727)
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Keywords | 周期的アンダーソン模型 / 動的クラスター近似 / 非局所相関効果 / 一粒子励起スペクトル |
Research Abstract |
本研究の目的は,重い電子系の物性の特徴を含む基礎的模型である周期的アンダーソン模型の一粒子励起スペクトルの計算を行うことによって、この模型の性質に局所相関と非局所相関が如何に寄与しているのかを明らかにすることであった.この模型の解法に従来から用いられている動的平均場近似において考慮が不十分な非局所相関効果を取り入れるために,動的平均場近似を拡張する手法である動的クラスター近似の手法を用いる計算機プログラムの開発を行なった.動的クラスター近似における計算プロセスは、有効媒質を自己無撞着に決めながら、有効クラスター模型を繰り返し解くことである。有効クラスター模型の解法にはNCA法を用い,多数の複素関数の連立積分方程式を自己無撞着に解くプロセスで並列スーパーコンピュータ向きのチューニングを行なった.その結果,実用的な時間で一粒子励起スペクトルの温度変化,および模型のパラメータ依存性を調べることが可能となった.今年度は,f電子状態に分散を与え,ハーフフィリングにおいても近藤絶縁体とならない場合を主に調べた. 近藤格子極限の場合に従来の動的平均場近似計算でフェルミ準位に現れる共鳴ピークが非局所相関によって著しく抑制され,Q=(π,π)の励起を持つギャップ的構造となる.ギャップの成因を種々の可能性に関して考察し,RKKY的相関効果であることを示した.次に,近藤格子極限からc-f混成を増加させると,ギャップ構造が徐々に消失することを示し,f電子状態の局在性と遍歴性に関して考察した.
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