2000 Fiscal Year Annual Research Report
exact WKB法に対する量子群に基づく関数等式の応用
Project/Area Number |
12740244
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
鈴木 淳史 静岡大学, 理学部, 助教授 (40222062)
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Keywords | WKB法 / 可解模型 / 関数等式 / 量子群 |
Research Abstract |
量子力学において一次元の一体問題は最も基本的な固有値問題である。 本研究は、量子群に起因する可解な場の理論および統計力学における転送行列法をexact WKB法と組み合わせる事により、その固有値問題、および解の大域的性質を特徴ずける量の評価などを具体的かつ定量的に行うことを目的とするものである。 本年度の研究による具体的な結果として、あるクラスの量子二重井戸系に対してそのエネルギー準位を厳密にさだめる非線形積分方程式を得たことがあげられる。 ポテンシャルが座標の正冪の単項よりなる場合に、この問題の背後に量子代数の構造が隠されており問題が非自明に簡単化することがすでにしられていた。 ここでとりあつかった量子二重井戸系はこのポテンシャルに低次の摂動項をくわえることに相当する。 物理的にいってこの摂動が、正の係数をもつか、負の係数をもつか、というのには大きな差異がある。二重井戸を生成するのは後者の摂動だけであり、前者は原点附近でのポテンシャルの振る舞いを修正するだけだからである。そこで素朴には2つの問題には関連がないように想像される。 本研究によって、座標を複素平面に拡張することにより、この2つの問題は、実は密接に関係していることが判明した。具体的には、正の係数をもつ摂動項のはいった問題のエネルギー準位を決定する積分方程式は、負の係数をもつ摂動項のはいった問題の情報をふくみ、逆も真であることを示した。その結果極めて高精度にエネルギー準位を決定することに成功した。 同様に高次の線形微分方程式系に関する研究もはじめており、こちらの方は、量子代数のq-指標とよばれるものと密接に関係していることが明らかになりつつある。
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Research Products
(1 results)