2000 Fiscal Year Annual Research Report
光学系・固体素子系の量子相関を用いた量子情報処理システムの設計・評価
Project/Area Number |
12740253
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
村尾 美緒 理化学研究所, 半導体工学研究室, 基礎科学特別研究員 (30322671)
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Keywords | 量子情報処理 / 量子相関 / エンタングルメント / 遠隔量子操作 / 量子通信 |
Research Abstract |
光学系・固体素子系の多粒子量子相関を用いた新たな量子情報処理システムの設計の一環として、量子相関を用いた「遠隔量子情報集約(remote information concentration)」の理論を提案した。遠隔量子情報集約は、4粒子間の「束縛された量子相関をもつ状態(bound entangled state)」を用いて、互いに離れた場所にいる複数の送信者へ分配された量子情報を集約して受信者へと伝達するものである。量子情報を集約・伝達する役割は、複数の送信者と受信者間で共有している束縛された量子相関を持つ状態が担っており、送信者間で非局所的な演算をする必要はない。束縛された量子相関を持つ状態では予め分配された量子情報以外は送ることができないため、すべての送信者が「協力」して分配された情報を送る場合にのみ受信者は量子情報を受信することが可能となる。 この研究は、これまで量子情報処理には有効ではないと考えられてきた束縛された量子相関を持つ状態を活用するために、量子情報理論の基礎的な視点からも重要である。そこで、遠隔量子情報集約を一般化して量子相関を用いた「遠隔量子操作」として定式化し、用いられる量子相関の性質を更に分析した。その結果、分配された量子情報に存在する量子相関と束縛された量子相関とが相補的に働いて、量子情報が集約され伝達されることが明らかになった。更に実用的な視点からは、先に提案された量子相関を用いた量子情報分配と今回提案した遠隔量子情報集約を組み合わせることで、量子秘密鍵を分岐した複数の中継場所を経由して安全に分配することが可能となることを示した。
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Research Products
(1 results)