2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12740263
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
中久喜 伴益 広島大学, 大学院・理学研究科, 助手 (10263667)
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Keywords | マントル対流 / プレートテクトニクス / 金星のテクトニクス / 金星のマントルダイナミクス |
Research Abstract |
本研究の目的は地球と金星のテクトニクス様式における差違を作り出す成因および,金星の表層データから内部のダイナミクスに関する情報を引き出すための基礎的研究を行うことである.まず,地球のテクトニクスの沈み込みの開始に関する研究を行った.今までの研究ではレオロジーを沈み込みが起きるように適当に調節していたが,本研究では実験で得られた岩石でレオロジーを元に沈み込みを再現することを試みた.現在得られているのは,海嶺押し(リッジプッシュ)のみが作用する場合の計算である.大陸地殻と海洋プレートとの相互作用により,沈み込み開始の原因となりうるプレートの破壊は現実的なレオロジーパラメーターでも起こるが,それに続く海洋プレートの沈み込みやスラブの形成は起こらなかった.さらに,プレートに作用する様々な力を考慮する,つまりリッジプッシュ以外の力も作用するテクトニクスの場をモデルで再現する必要があると考えられる.あるいは,これはプレートの弾性効果を考慮していなかったからかもしれない.そのため,プレートの弾性をマントル対流計算に取り入れるためのプログラムの開発を行った.開発したプログラムを用いて現在,沈み込みの開始に関する数値計算を行っている.一方,金星におけるテクトニクス様式の詳細な進化の様式と,内部構造への影響を探るために以下のような研究を行った.1,円筒モデルを用い,表層全体の間歇的更新が起こるマントル対流の数値シミュレーションを行い,従来の矩形モデルとの比較を行った.2,全球表層更新において起こるテクトニクス様式の時間変化について明らかにした.3,表層更新に伴い,マントル内部のグローバルな温度変化が現れることや,不均質の進化について明らかにした.
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