2001 Fiscal Year Annual Research Report
背弧下のプリュームの構造・ダイナミクスと背弧拡大のメカニズムの関連性
Project/Area Number |
12740264
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
吉岡 祥一 九州大学, 大学院・理学研究院, 助教授 (20222391)
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Keywords | プリューム / 背弧 / 地震波速度 / 660km不連続面 / パイロライト組成 / 流線 / 温度 |
Research Abstract |
背弧下の上部マントルを数百mごとの格子点に分割し、各格子点での深さからその点での圧力と温度分布を計算した。得られた背弧下での温度分布と、パイロライト組成に対する温度-圧力ダイヤグラムを用いて、すべての格子点での温度・圧力に対する密度、ヤング率、剛性率などの各種物性パラメターの値を計算し、背弧下の上部マントル内での物性パラメターの空間分布を求めた。その結果、背弧下の上昇するプリューム内の高温領域では、これらの物性値の値が小さくなることが見出された。また、相転移境界がプリュームの流れに及ぼす影響を定量的に評価し、相転移境界がある場合には、ない場合に比べて、660km直下でプリュームが妨げられ、横長の塊状になる形状を示すこと、プリューム域を除いては温度分布のパターンは両者で似ているが、相転移がある場合は、ない場合に比べてその時間的進行が遅れること、などが明らかになった。さらに、パイロライト組成を仮定し、背弧下の上部マントル内でP波・S波速度分布、及び地震波速度異常の空間分布を求め、P波、S波とも地震波速度分布と温度分布との対応がよく、低速度域は高温域に、高速度域は低温域に対応していること、P波よりもS波速度異常の方が値が大きいこと、などがわかった。また、背弧拡大モデルに対する流線から背弧下の上部マントル内での流れの速度分布の計算を行い、浅部ではプリューム域から離れるに従って速度ベクトルの向きが鉛直方向から水平方向に向いてくること、相転移境界がない場合でも、660km付近で反流が生じる可能性があることを示した。また、背弧におけるリソスフェア下部に働く剪断応力を計算し、現在の九州の南東向きのGPSデータを説明するためには、10〜20MPa程度の断応力が必要である可能性を示した。
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